終活として介護、終末医療のために考えておくことはこんなことです。
- 介護サービスを受けるには
- 介護サービスにかかる費用
- どんな介護を自分は望む?
- 施設への入所前に認知症になったら?
- 施設入所時、入院時に身元保証人が要る?
- 自分が終末医療をうけることになったら?
介護を受けるには
介護(介護予防)サービス計画書(ケアプラン)作成が必要です。
【介護を受けるまでの流れ】
本人が申請できないときは、家族が代理で申請できる
家族の支援が受けれないときは、地域包括支援センター、居宅介護支援事業者が代理で申請できる
申請には介護保険被保険者証が必要
40~64歳までの方(第2号被保険者)は医療保険証が必要
市町村の調査員などが申請者の家庭、施設などを訪問し、認定調査を実施
(心身の状態などを聴取し、調査票を作成)
主治医による意見書(主治医意見書)の作成
※市町村が主治医に依頼
【一次判定】
調査結果と主治医意見書の一部項目は、コンピュータにより全国一律の判定がされる
【二次判定】
一次判定と主治医意見書をもとに介護認定審査会による要介護度の判定
原則30日以内に認定結果を通知
認定は要支援1・2、要介護1~5までの7段階および非該当(注1)
【認定の有効期間】
新規・変更申請;原則6か月
更新申請;原則12か月
有効期間が経過すると、介護サービスが利用できない。有効期間満了までに認定の更新申請が必要。
【要支援1,2と認定された方】
地域包括支援センターに依頼
【要介護1~5と認定された方】
在宅サービスを希望 居宅介護支援事業者(介護支援専門員)に依頼
施設サービスを希望 施設の介護支援専門員に依頼
(注1)要介護認定が「非該当」となり、ケアプランの作成ができないとどうなるのでしょう?
要介護認定において「非該当」と認定された方でも、市区町村が行っている地域支援事業などにより、生活機能を維持するためのサービスや生活支援サービスが利用できる場合があります。
お住まいの市区町村または地域包括支援センターにご相談しましょう。
介護サービスの費用
介護サービスを利用した場合、利用者負担は介護サービス費用の1割
※一定以上所得者は2割、または3割
介護保険施設利用の場合、費用の1割
低所得者、1か月の利用料が高額になっても負担の軽減措置があります。
サービス利用者の費用負担等
居宅サービス1か月あたりの利用限度額

居宅サービスを利用する場合は、利用できるサービスの量(支給限度額)が右表のとおり定められています。
この限度額を超えてサービスを利用すると、超過分が自己負担となります。
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html
施設サービス自己負担の1か月あたりの目安
個室であるか否か環境の違いによって自己負担額が変わります。
【介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の1か月の自己負担の目安】
〇要介護5の方が相部屋利用

〇要介護5の方がユニット型個室を利用

https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html
利用者負担の軽減
利用者負担が大きくなりすぎないよう所得によって軽減が講じられます。
特定入所者介護サービス費(補足給付)
介護保険施設入所者等で一定の所得、資産以下の方は、負担限度を超えた居住費と食費の負担が軽減される。
特定入所者介護サービス費の利用には、負担限度額認定を受ける必要があります。
〇補足給付の支給対象 表1

負担限度額は、所得段階、施設の種類、部屋のタイプによって異なります。
○介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、短期入所生活介護の場合(日額)表2

○介護老人保健施設、介護療養型医療施設、短期入所療養介護の場合(日額)表3

https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html
補足給付対象者(表1)であれば、表2、表3の負担限度額以上の額は負担しなくてよいということです。
高額介護サービス費
1か月の利用者負担額(福祉用具購入費、食費・居住費等一部を除く)の合計額が、上限額を超えると超過分が介護保険から支給されます。
⇒負担の上限額までの額を負担すればよいということです。

どんな介護を自分は望む?
介護サービスの種類
介護サービスの種類には大きく分けて次の3つがあります。
居宅・施設サービス、施設サービス、介護予防サービスです。
| 市町村が指定・監督 | 都道府県・政令指定都市・中核市が指定・監督 | |
| 【地域密着型サービス】 ・定期巡回・随時対応型訪問介護看護 ・夜間対応型訪問介護 ・認知症対応型通所介護 ・小規模多機能型居宅介護 ・看護小規模多機能型居宅介護 ・認知症対応型共同生活介護 ・地域密着型特定施設入居者生活介護 ・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 ・地域密着型通所介護 【居宅介護支援】 | 【居宅サービス】 ・訪問介護 ・訪問入浴介護 ・訪問看護 ・訪問リハビリテーション ・居宅療養管理指導 ・特定施設入居者生活介護 ・通所介護 ・通所リハビリテーション ・短期入所生活介護 ・短期入所療養介護 ・福祉用具貸与 ・特定福祉用具販売 | 【施設サービス】 ・介護老人福祉施設 ・介護老人保健施設 ・介護療養型医療施設 ・介護医療院 |
| 【地域密着型介護予防サービス】 ・介護予防認知症対応型通所介護 ・介護予防小規模多機能型居住介護 ・介護予防認知症対応型共同生活介護 【介護予防支援】 | 【介護予防サービス】 ・介護予防訪問入浴介護 ・介護予防訪問介護 ・介護予防訪問リハビリテーション ・介護予防居宅療養管理指導 ・介護予防特定施設入居者生活介護 ・介護予防通所リハビリテーション ・介護予防短期入所生活介護 ・介護予防短期入所療養介護 ・介護予防福祉用具貸与 ・介護予防特定福祉用具販売 | |
種類が多く、どのサービスを自分にとっての最適のものなのか分かりません。
だから、介護サービスを受けようと思えば、どうしても介護支援専門員にケアプランを依頼するしかありません。
施設入所前に、もし認知症になったら?

・認知症になったら、銀行口座が凍結されます
預貯金を引き落とせるのは原則、本人のみです。
例外的に、ご家族であっても本人の預貯金を引き出せる「代理引き出し」という仕組みがあります。
代理引き出しとは、ご家族が本人の委任状、口座名義人の本人確認証書をもって引き出しを行うことです。
また「代理人カード」という仕組みがあります。
これは口座名義人と同居している家族でも、本人の預貯金を引き出せるとするものです。
ところが重度の認知症になると「定期預金の解約」「預貯金の引き出し」ができなくなります。
前述した「代理引き出し」「代理人カード」という仕組みも使えなくなります。
すると、介護の費用や生活費は、あなた以外の者が負担しなければならなくなります。
・年金の受取口座変更は本人しかできません
認知症になれば、口座変更も難しくなります。
あなたが生活費の大半を年金に頼っているなら、ご家族はあなたの分の生活費を支出しなければならず、経済的負担は大きいでしょう。
・認知症になったら、あなたがどのような介護サービスを受けたかったのかを伝えられなくなります。
個室にしたかった等、入所したかった施設や受けたかったサービスが受けられず不本意な結果となるかもしれません。
施設入所前に判断能力の低下が生じると、ご自身というよりは、ご家族にご迷惑をおかけしてしまうというのが、お分かりになったと思います。
さて、ここで問題です。
もし、あなたが認知症になった(あるいは判断能力が低下した)とすると、誰が要介護申請の提出を行うのでしょうか?
要介護申請の提出できる者は、ご自身、あるいはご家族とされます。
認知症になった(あるいは判断能力が低下した)状態では申請手続きは、ご自身が行うことは無理でしょう。となれば、ご家族がご自身の代わりに申請手続きを行わなければなりません。
あなたがおひとり様なら、要介護申請は誰にも提出できず、その結果、ケアプランが作成できません。
ケアプランが作成できなければ、介護サービスを受けることができず、あなたは施設に入所できないこととなります。
あなたが誰にも頼る人がおらず、または認知症になってしまったせいで介護申請を提出できなかったら?
介護サービスを受けることができないなら、どうすればよいのでしょうか?
認知症になる前にしておくべき対策は?
認知症となる前に、次のよう対策を検討してみてはいかがでしょうか。
1.遺言書の作成
遺言書は、本人の意思能力が認められなければ、作成されたとしても無効となります。
よ認知症になる前に遺言は作成されたほうが将来のトラブルを避られるでしょう。
2.銀行口座の凍結対策
2-① 任意代理人を届け出る
任意代理人とは、あなたが自らの意思で選任できる代理人です。
任意代理人を届け出ておくこと(注2)で、あなたに代わり任意代理人が預貯金の引き出しや、定期預金の解約を行うことができます。
この届出は、あなたが認知症になる前の段階に、任意代理人となる者と一緒に金融機関の窓口で行われなければなりません。
届出されれば、あなたが認知症になった後も、任意代理人が預貯金の引き出しや、定期預金の解約を行うことができる余地があります。
(注2)「代理人指名手続き」「代理人によるお手続き」と金融機関により名称はバラバラ。
任意代理人の届出による本人以外の取引は、全ての銀行で認められておらず、事情によっては代理を認めないこともある
2-② 家族信託の活用
家族信託とは、不動産・預貯金等の資産を家族に託し、自分の老後の生活や介護という目的のもと管理・処分を任せる仕組みです。
🔗家族信託とは(一般社団法人 家族信託普及協会
2-③ 成年後見制度の利用
成年後見制度とは、認知症などの理由で判断能力が低下した方の財産管理や施設入所に必要とされる契約締結支援のために活用される制度です。
成年後見制度は、大きく「法定後見制度」と「任意後見制度」に分けられます。
「法定後見制度」は、あなたが認知症になってしまった後でも利用できます。
・銀行が知る前に口座から資金を引き出しておく
認知症による銀行口座が凍結されるのは、「顧客の判断能力に大幅な低下があることを知った」ときからです。
口座名義人が認知症になったことを銀行に連絡する前に、代理カードや代理引き出しにより介護の費用や生活費を引き出しておける余地があります。
施設入所時、入院時に身元保証人は要る?
施設に入所したい、病院に入院しなければならないとなると、身元保証人をどうしようかとご心配される方もおられるかもしれません。
特に、おひとりで暮らされている、ご家族に頼むには気が引けるとお感じになられる方は頼むべき相手をどうしようかとお悩みになられることでしょう。
原則、病院では身元保証人がいないことを理由に入院を拒否することはできません。
とはいうもの、現場の大半では身元保証人を求めています。
身元保証人とは、利用者が入居にまつわる判断や手続きを行うことができなくなった場合に、それらを代わって行う者のことです。
それは「身元引受人」ではないか?
と思われる方もおられるかもしれません。
施設入所時、病院入院時に身元保証人と並んで用いられる言葉に、身元引受人があります。
実のところ身元引受人と身元保証人が担う役割はちゃんと決まっていないようです。
施設や病院によっては引受人のことを保証人ということもあります。一般的に連帯保証を担う方が身元保証人とされるようです。
利用者が高齢、あるいは判断能力が低下がみられるのであれば、病院・施設側は緊急時に対応がなされるのか、かかった費用がきちんと支払われるか不安に思うのも当然です。
こういった不安の解消のために、身元保証人は入院・入所の際に求められるのです。
その一方で、身寄りがいない、あるいは身寄りがいてもあまり親しくないので身元保証を頼みにくいといった方がおられます。
これらの方はどうすればよいのでしょうか?
身元保証を頼めないときの対処法
施設入所の場合、
身元保証人がいなくても受け入れをしてくれる施設はあります。
こういった施設は、入所時に身元保証人を必要とす施設よりも利用額が高くなる傾向があります。

https://www.minnanokaigo.com/search/surety
高齢者をサポートするサービス
おひとり暮らしの高齢者、お子様が近くにお住まいでないような高齢者は、医療機関への入院・介護施設等への入院の身元保証人の手配だけでなく、亡くなった後の葬儀や遺品整理について不安を抱えることが多いものです。
ほかにも日々の見守りや支援、気軽に相談できるサービスを必要とします。
こういった要望に有償で応えるサービスを「高齢者サポートサービス」といいます。
【利用の流れ】
・ご自身がどのようなサービスを利用したいか明確にする
・費用がどのくらいかかるか計算する(利用回数に応じてなのか、月額なのか等)
・ご自身の判断能力や身体能力が低下した際にも適切な支援が受けられるのか
誰とどんな契約をしているのかについて書面に残し、連絡先等と共に保管する
・契約の内容変更、解約の手続きを文書で説明してもらう
高齢者サポートサービスを利用したいと思っても、どこに相談すればよいか分からない、あるいは保証人を求められたなど不安点が生じたときは、お住まいの地域にある支援機関に相談しましょう。
高齢者サポートサービス契約時に不安点があるなら、ここに相談してみましょう。
<地域包括支援センター>
地域包括支援センターとは、高齢者の健康面や生活全般に関する相談を受けつける地域に密着した総合相談窓口です。
令和5年4月末での設置数は全国に5,431か所(ブランチ・サブセンターを含めると7,391か所)です。
全ての市町村に設置されていますので、お住まいの地域+「地域包括支援センター」で検索するとよいでしょう。
消費生活センターとは、消費生活に関する様々な相談や苦情を受け付けている機関です。
全国に約850か所あり、各地方公共団体が設置しています。
消費者ホットライン188は全国共通の電話番号で、年末年始を除き原則、毎日ご利用できます。
- 商品やサービスの契約に関するトラブル
- 電話勧誘や訪問販売による契約トラブル
- 悪質商法
- 製品事故
「消費者トラブルに巻き込まれた」ときだけではなく、契約前に不明な点、不安な点があれば気軽に相談してみましょう。
自分が終末医療を受けることになったら
ご自身が急に倒れて病院に運ばれたとき、あるいはご自身が長期間治療していた病気について医師から
「これ以上治療しても回復の見込みがありません」
と告げられたとき、あなたはどうお思いになるでしょうか?
患者が助かる見込みのない状況になったときを、「終末期」といいます。
全日本病院協会による『終末医療に関するガイドライン』に示された終末期の定義です。
終末期は、患者ひとりの判断によるものではなく、医師、看護師、家族など複数の意思と客観的な情報により決定されるということがおわかりになると思います。
終末期だと判断されると、通常、終末期医療が意識されます。
終末期医療(ターミナルケア)とは延命を目的とする医療ではなく、身体的・精神的苦痛を除去し生活の質を向上・維持することを目的とする処置のことです。
終末期には今後の治療方針をどうしたいのかが問われます。
この他にも、カウンセリングや心理療法といった精神的なケアの受診をどうするか、ご家族とどう時間をすごすかなど検討すべき点は幾つもあります。
延命治療と尊厳死
延命治療とは、傷病が回復不能で死期が迫っていることが明らかな場合に、生命維持装置を装着することです。
一度装着したあとで、この生命維持装置を外すことは死を意味するので、医師もご家族も精神的に強い抵抗を抱きます。
さて、ここで問題です。
あなたが終末期での治療方針や延命治療の有無を明らかにしないまま、判断能力が低下してしまった、あるいは障害によりご自身の意思を伝えられなくなってしまったらどうなるでしょう。
ここまで見てきたとおり、終末期における選択肢は、死生観に絡むものであったり、痛みだけではなく時には死をももたらすものだったり。このような重い選択肢をご家族に委ねてもよろしいのでしょうか?
ご自身が尊厳死を望んでいても、ご家族は延命治療を望むかもしれません。
延命治療を選んでしまえば、途中で止めることは難しく、精神的・経済的な重荷はご家族を苦しめることでしょう。
ご家族にご自身の重荷を負わせたくない。
そう思われるのであれば、終末期におけるご自身の希望をのこしておくのはいかがでしょうか。
終活のひとつに、エンディングノートの作成があります。
ご家族にご自身の重荷を負わせたくないというお気持ちを、余命わずかとなったときの希望、延命治療と尊厳死に関する希望として記してみましょう。
延命措置を拒否したい場合、その意思をエンディングノートに記すことは大切ですが、本人が間違いなく意思表示したものだと保証する「尊厳死宣言公正証書」を作成する方も増えています。
まとめ

この記事では、介護・医療に関する不安を終活でどう解消するかについてまとめました。
- 介護サービスを受けるための方法、費用、種類について
- 施設入所、入院時に身元保証人が要るか
- 自分が終末医療を受けることになったらどうするか
このような不安についてまとめています。
2016年の男性の平均寿命は80.98歳、女性は87.14歳です。
一方、男性の健康寿命は、72.14歳、女性は74.79歳です。
健康寿命とは健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間です。
つまり、男性はおよそ8年、女性はおよそ12年間もの介護を受ける可能性があるということです。
なのに、現状誰かの支援がなければ、介護も医療も受けることができません。
あなたが独り暮らしの状態で判断能力が低下したらどうすればよいのか。
終活として考えておかなければならない課題です。
