遺言書とは、「あなたのご意思をのこすツール」です。
遺言書は、お金や土地といった財産の配分方法を示すだけのものと思われがちですが、
たとえ配分方法といえども、あなた自らのご意思により指定することで、その者への思いを伝えることができます。
また、付言事項にお気持ちやお考えをのこすことで、あなたの思いをご家族に直接、残すこともできます。
しかし、万が一この遺言書が無効となってしまえばどうでしょう?遺言書に託したあなたの思いもムダになってしまします。
ムダになることは、あなたのご本意ではないはず。
ここでは、あなたのご意思がムダにならない、つまり遺言書が無効にならない、
即ちあなたの思いを託せる遺言書作法として何回かに渡り、遺言書の作成方法をご説明したいと思います。
まず、遺言書を作成する前段階として、
遺言書について知っておいていただきたいことをご紹介します。
遺言書作成の筆をとる前に知っておきたいこと

遺言書を作成するには、その作成前に
遺言書が法的効力を生じる書面であることを意識しておいたほうがよろしいでしょう。
では、遺言書と響きが似ている遺書は法的な効力は生じないのでしょうか。
結論から申しますと、遺書と遺言書は似て非なるものです。
遺書と遺言書は慎重に区別しておくものです。
遺書と遺言書のちがい
遺書と遺言書の決定的なちがいは、法的効力が生じるか生じないかです。
法的効力とは、権利や義務が生じたり、なくなったり、変わったりすることです。
| 遺言書 | 遺言 | |
| 意味 | 法的効力を生じる書面 | 手紙 |
| 作成できる者 | 遺言能力を有する者 | 誰にでも |
| 法的効力の有無 | ある | ない |
たとえば、遺書に「自分の預金口座にあるお金を”彼女”に譲りたい」旨の文言が記してあったとします。
この遺書のとおりに、お金が彼女に譲られるかどうかはわかりません。
なぜかというと、遺書には法的効力が生じないからです。
法的効力とは?
法的効力とは、内容を実現する効力です。
では、遺言書に遺書と同じように”彼女”にお金を渡したい旨の文言が記してあったとします。
遺言書に書かれているので、法的効力が生じ、彼女にお金が譲られるのでしょうか。
法的効力が生じるには、その遺言書が有効でなければなりません。
まずは、その遺言書が有効かどうかを見極めなければならないでしょう。
遺言書が有効と認められるには、
「遺言能力のある者が作成したもの」
「法律で定められた形式を備えていること」が必要です。
▶遺書と遺言書の違い、遺言能力についてはこちらをご覧ください。
https://rich-hack.com/2025/01/29/igonnouryoku
▶遺言書が備えるべき法律で定められた形式とはごちらをご覧ください。
この「ご家族に思いを託せる遺言書作法」でも順次ご説明していきます。
ここまでこの記事を読み進まれた方は、
遺書と遺言書のちがい、そして遺言書が法的な効力を生じる文書であることを改めて認識されたことと思います。
さて、ここでは遺言書を書く前に知っておいて頂きたいことをご説明していますが、
そのため遺言書を有効にするためにどうすればよいかはひとまず置いておきたいと思います。
なぜなら、遺言書を書く最も良い方法が、
遺言書を書こうとしている方(=遺言者)がご自身の財産を確認した上で、
相続人らが実際に集い、各々がその財産をどう考えているか、その思いを突き合わせることだからです。

遺言書が法律で定められた文書であり、法的な効果が生じることは前述したとおりです。
だからこそ遺言者と相続人ら、各々が財産をどう捉えているかを擦り合わせて頂きたいのです。
なぜなら、あなたが良かれと思っていた家の相続が、
譲り渡される当人にしてみれば迷惑ということもありうるのです。

遺言書は法的な効力を生じる文書です。
自筆証書遺言であれば修正できる余地があるといえ、
やはり、ベストはあなたとご家族、財産を譲りたいと思っている方の思いを擦り合わせること。
禍根を残さないためにも意見をかわせる場を設けていただければ、と思います。
さて、遺言書と遺書のちがいをお分かりなった方は多いと思いますが、遺言はどうでしょうか。
遺言とは、遺言書にのこされる遺言者の思いです。
しかし、遺言ものこし方を誤れば思いが伝わらない可能性も生じます。
そのため、遺言書を書く前に、ぜひ遺言とはなんなのかを改めて考えて頂ければ、と思います。
遺言(いごん・ゆいごん)とは?
遺言と聞いてあなたはなにをイメージされるでしょうか。
ちょっと、こんなシーンをイメージしてみてください。
ご親族やご遺族が集まった一室。
床に臥せった老齢の男性が、若い長男らしき者の手をとり「お前に全財産を託す」と伝えた直後に息を引き取るシーンです。
ここでのこされた「お前に全財産を託す」という言葉は遺言でしょうか?
遺言(いごん・ゆいごん)とは、「あなた」の「相続財産」を「どう分配するか」を示す「意思表示」です。
だとすれば「お前に全財産を託す」は遺言といえそうです。
しかし、全財産がご長男に譲られるかといえば、必ずしも譲られるとは限りません。
なぜでしょうか?
この老齢の男性が意思どおりの結果を導くには、遺言が遺言書として残されていなければならないのです。
つまり、遺言と遺言書は別物ですが、どちらかが抜けると効力が生じないということになります。
「遺言が遺言書として残されている」ためには、遺言書に次の3つが遺言として明確に示されていなければなりません。
つまり、次の3つが遺言として明確に表されるよう遺言書を意識して作成されなければならないということです。
①誰が作成?
②相続財産はどれ?
③誰にどう分配する?
ひとつひとつを簡単にご説明していきます。
①誰が作成?
誰が作成
- 遺言書は、「あなた」の相続財産についてのものです。
「あなた」以外の誰かの財産について管理や処分方法を示すものではありません。 - 遺言書は、「あなた」の死後について発効する内容を記すものです。
あなた以外の誰かが亡くなったとしても遺言書は発効しません。
つまり、遺言書では二次相続が指定できないのです。🔗二次相続で指定できないと?
※一次であるあなたの死によって相続人となった者が亡くなって生じる相続が二次相続です。
遺言書では相続人に受け継がれた財産を、次に誰が相続するかを指定できません。
遺言書は「あなた」が作成しているので、

自分以外の財産について書くはずがないじゃないか!
こんなふうに思われるのも当然かもしれませんが、
遺言書は「あなた」のご意思をのこすものなので、全文自書で作成されなければいけないし、
「あなた」の印鑑で押印される必要があります。
また前文に遺言者〇〇として「あなた」の遺言書であることを示します。
②相続財産はどれ?
相続財産とは、「あなた」から引き継がれる全財産です。
- 「あなた」の全ての財産
・預貯金、有価証券、不動産、骨董・絵画といったあらゆるプラスの財産
・借金やローン、遅延金、税金といったあらゆるマイナスの財産(負債)
全ての財産とは、プラスの財産だけではなくマイナスの財産を含みます - お金を貸している、といった契約書として残っている権利だけでなく、
目に見えない著作権や慰謝料請求権、損害賠償権といった権利も含まれます
※この権利には賃借権や地上権も含まれることをお忘れなく
③どのように分配するか
「どの財産」を「誰に」「どのような形で」「どれだけ渡すか」を示したものです。
遺言書はご自身で作成するものですが、
ベストな方法は作成前に、ご自身の財産がどれだけあるかを確認し、ご家族が相続についてどう考えているのかを突き合わせることです。
ご自身の財産の全体像を確認し、ご家族がそれぞれ相続をどう考えているのかを突き合せることで初めて、ご家族の希望にあった分配ができ、後々のトラブルを防ぐことができるからです。
遺言書作成の際には、次の点をよく検討してみましょう。
財産を譲る際に考慮したい点
遺言書を突きつめれば「あなたの財産をどう譲るか」です。
遺言書を作成するにあたり、財産の全体像を把握し、財産の性格や特徴を考慮しつつ贈り先を考えていかなけれなばなりません。
必然的に考慮すべきは増え、複数の視点から検討する必要がでてきますが、
あなたの思いがもっとも表れるところです。
以下を参考に、どういう点について考えなければならないか、ざっくりとしたもので良いのでイメージとして持っていただくことをお勧めします。
✔財産を誰に渡し誰に渡したくないのか
財産を渡したいのはご家族の誰かなのか、それともお世話になった者なのか友人なのか。
遺言書にのこせば、あなたの希望どおりに誰にでも財産を譲ることができます。

誰にでも財産を譲ることができますが、
居酒屋で意気投合した者に財産を譲ることは、ご自身がよくてもご家族の誰もが良しとしないでしょう。
遺留分侵害額請求の対象となりますし、後々のトラブルの原因となるおそれがあります。
また、相続人以外の者に遺言書で財産を譲ることを「遺贈」といいます。
ときに財産を譲り受けることで負担を負うこともあるので、遺贈を受ける者はその遺贈を拒否することもできます。
ご自身がよいと思って財産を譲ることにしても、ご家族や譲り受ける者に必ずしも良い結果となるとは限らないことに留意しましょう。
逆に、財産を譲りたくない者がいるかもしれません。
財産を譲りたくない者がいれば、財産を譲らないというご意思を表示できるのもまた遺言書の特徴です。
※相続分をゼロにしても、遺留分侵害額の請求をされる可能性があります。
✔なにを譲るのか
家や土地といった不動産は、すぐにお金に換えることができない他、手間や時間がかかります。
だからといってご家族にのこせば、家や不動産の相続はトラブルのタネになるおそれがあります。
つまり、そのモノがもつ価値だけに注目すると、
換価に手間がかかったり価値が変わったりすることを見落とし不満のもととなるので注意が必要です。
✔贈与なのか相続なのか、信託なのか
あなたの財産を譲る行為が、贈与なのか相続なのかという点には注意しましょう。
なぜかというと、課せられる税金額が変わってくるからです。
「Aに土地を遺贈する」とすれば贈与税が、
「Bに土地を相続させる」とすれば相続税がかかることになります。
贈与税のほうが相続税よりも高くなる傾向がありますので、「相続させる」としたほうが税金面でおトクといえます。
税金面でおトクと聞くと、

じゃあ、全部「相続させる」にすれば安あがりじゃないの?
Rさんのように、その譲渡が贈与か相続かのどちらにあたるのかを考えずに、全て「相続させる」にすればおトクだと考える方もおられるかもしれません。
しかし、Rさんの思惑が実現するかといえば、現実はそううまくいかないものです。
※「法定相続人である「Aに遺贈する」と遺言書にあれば、「相続させる」という意味に解されます。
「遺贈する」と「相続させる」の使い分けは、
「遺贈する」は法定相続人以外の者に財産を譲るときに、
「相続させる」は法定相続人に財産を譲るときに、というように行います。
また、遺言書では財産を「信託」することができます。
遺言書により財産を信託することを「遺言信託」※1といいます。
遺言者は死亡後もご自身の財産を活用したり、ご家族の生活を保障したりすることができます。
ただし、遺言信託は財産の管理・運用を行う者の指定を一方的に行うものなので、相手に拒否される可能性があります。生前から管理・運用を依頼する者と交渉し承諾を得ておいたほうがよいでしょう。
家族信託は、遺言信託と仕組みは同じだが生前に関係者同士が話し合い、信託契約を結ぶことで成立するので遺言信託よりは緻密なプラン形成が期待できます。
※1同じ「遺言信託」でも信託銀行等が提供する「遺言信託」サービスは別物
この記事で述べた遺言信託は、信託銀行等が提供する「遺言信託」サービスとは言葉としては同じでも、
内容が全くことなることに注意が必要です。
信託銀行等が提供する「遺言信託」サービスは、遺言書作成支援、遺言書保管、遺言書執行手続きを代行するもので、法律上の信託とはことなります。
この項で述べてきたように、財産を譲るには「相続させる」もしくは「遺贈する」という遺言が一般的です。
逆に、「任せる」「委ねる」という書き方は遺言書をのこした者の意思が不明瞭になるため、避けるべきものです。
たとえば、「A町の土地は長男に任せる」「引き出しにある通帳は以前交際していたBに委ねる」という書き方です。
遺言書の作法は、前述した「法律で定められた方式が守らなければならない」こと、
「遺言書に書かれたものは、なんでも法的効力が生じるとは限らない」というものがあります。
そして、遺言書の作法には、もうひとつ。
「遺す内容を明確にする」ことがあります。
どういうことかというと、ご家族や遺言執行人が遺言書を見たときに、どの財産をどう分配すればよいのかわからない書き方をしてはいけないということ。
つまり、遺言書は「曖昧に書かず、譲る財産を特定できる書き方」をしましょうということです。
たとえば「A町の土地は長男に任せる」「引き出しにある通帳は以前交際していたBに委ねる」というものが、曖昧な書き方の例です。
「A町の土地は長男に任せる」という書き方だと、A町の土地が複数あったときにどの土地を指すのか分かりませんし、そもそも「任せる」という表現が曖昧です。
また、長男に所有権を譲るという意味なのか、売却して得られたお金を相続人同士で分けろという意味なのか、判断がつきません。
「任せる」という表現は、避けたほうがよいでしょう。
同様に「引き出しにある通帳は以前交際していたBに委ねる」という書き方も遺言者の意思を曖昧にします。
まず引き出しがどの引き出しを指すのかが分かりませんし、同じ引き出しに複数の通帳があると、どの通帳のことなのかが分かりません。
仮に通帳が特定できたとしても、この遺言では銀行が払い戻しに応じるとは考えられません。
「委ねる」という表現からは、遺言者が自分の財産をBにどうしてほしいのかが見えてきません。
通帳にある預金口座をBの好きにして良いという意味なのか、それとも清算行為のみを期待しているのか。
このような曖昧な書き方の例をご覧いただければ、遺言書では「任せる」「委ねる」という表現を避けるべき意味がお分かりになられるのではないでしょうか。
✔全部譲るのか、もしくは割合で譲るのか
遺言書では財産を譲る方法として、その割合で示すことができます。
全財産を譲る場合には「全財産を〇〇に相続させる」
財産を相続人のそれぞれに割合をもって分ける場合には、次のように書きます。

どのような割合で分配するかについて定めはありません。
しかし、極端な分配(全財産を譲る場合等)は相続人が不満をもつ原因となります。
遺留分侵害額請求の対象となるおそれ、後々まで禍根として残る可能性があるでしょう。
極端な分配によって生じた相続人の不満を和らげる方法として、
付言事項に遺言者の思いを記すというものがあります。
付言事項とは、遺言書に遺言者の感謝や思い、願いをメッセージとして遺すものです。
ご家族は、付言事項により遺言者の思いを知ることができます。
遺言者の遺言書に託された思いを知れば、財産の分配に理解を頂けるかもしれません。
このように、遺言書の作法は、定められた型に沿って作成していくことが基本となります。
定められた型が決まっている分、あなたがどうしたいかが決まっていれば、
あとはその希望に従って作成していくだけなので、どうやって書けばよいか悩む心配はほとんどないのです。
繰り返しとなりますが、
あなたがご家族に自分の財産をどうしたいのかが決まっていれば、遺言書は作成できるのです。
問題は、
相続人とは?
相続には、一般の方には馴染みのない用語がときおり用いられます。
そのうちのひとつに「相続人」という言葉があります。
相続人という言葉自体はよく聞くので、意味をイメージできる方も多いでしょう。
それでも、ひとことに「相続人」といっても「相続人」「法定相続人」「受遺者」がいるということはご存知でしょうか。

「相続人」、「受遺者」、「法定相続人」?
そんなの気にすることないんじゃない? 俺は俺の面倒をよく見てくれた長男の嫁に全財産をのこしたい。結局は遺言書にそう書けばいいだけでしょ?
遺言を書く上で、誰が相続人で誰が法定相続人かは知っておいたほうがよいでしょう。
Rさんの例でいえば、遺言書にご長男のお嫁さんに全財産を
相続人、受遺者、法定相続人のちがい
「相続人」とは実際に財産を相続した者を指します。
財産を譲り受けた法定相続人である場合が大半です。
「法定相続人」とは遺言がない、あるいは無効になった場合や相続廃除や相続放棄があった場合、誰が相続人となるかを決定するため法律によって定められた者です。
「受遺者」は、遺言書で贈与の相手として指定された者です。
受遺者とは本来、法定相続では財産を受け取ることができない者です。
たとえば、ご長男のお嫁さんには相続権がありませんが、遺言書で財産を遺贈されれば「受遺者」となります。
遺贈は、誰に財産を譲るかは自由なのです。
※遺言書での書き方は「遺贈する」となります。
法定相続人であっても、後順位の者に財産を分ける場合は「遺贈する」となる場合があります。
| 被相続人 | 財産をのこして死去した者。故人。 |
| 法定相続人 | 民法で定められた相続権をもつ者、配偶者と血族 |
| 相続人 | 実際に財産を相続した者。 |
| 受遺者(遺贈受けた者) | 遺言により遺産の受取人として指定された者(法人も可) |
法定相続人とは
法定相続人とは、相続権をもつ者で、具体的には故人の配偶者と血族です。
法定相続人が全て、同時に相続人となるわけではありませんが、配偶者は常に相続人となります。
法定相続人のなかで誰が相続人となるかは、定められた順位(下表参照)に従って決定されます。
| 第1順位 | お子様(+そのお子様「孫」※お子様が死去している場合) |
| 第2順位 | ご両親(「直系尊属」ともいう) |
| 第3順位 | 兄弟姉妹(+そのお子様「甥」「姪」※兄弟姉妹が死去している場合) |
つまり、相続が開始されたとき、
お子様がいれば、相続人は配偶者とお子様に(お孫様がいれば、お孫様に)。【第1順位】
お子様(お孫様)がいなければ、配偶者とご両親に。【第2順位】
お子様(お孫様)、ご両親がいなければ、配偶者とご兄弟に、相続されます。【第3順位】

注意すべきは、故人の財産は法定相続人がいるからといるからといって、法定相続分のとおりに相続されるわけではないことです。
法定相続分とは法定相続人が取得する相続財産の割合の「目安」です。
※あくまでも「目安」であることに注意
遺言書があれば遺言書のとおりに財産が分けられます。
遺言書がなければ、相続人同士がどう財産を分けるかを話し合い(=遺産分割協議)で決められます。
では、遺言書や遺産分割協議が決まるなら、法定相続人や法定相続分という考え方は必要でしょうか?
実際、Sさんのように「法定相続人は何のために要るのか?」、「法定相続分の考え方は不要ではないか?」とお考えになる方もおられます。

法定相続人ってなんなのかしら?
法定相続分?
遺言書や話し合いで決まるなら、要らないんじゃないかしら。
しかし、Sさんの考え方は半分正しいですが、半分誤っています。
相続において法定相続人や法定相続分の考え方は重宝されるものです。
法定相続人や法定相続分の考え方は、遺産分割協議で、また遺産分割協議での話し合いがまとまらない場合に必要となります。
遺産分割協議では相続人間でどう財産をわけるか話し合いますが、その際に法定相続分は誰にどれだけ財産をわけるかの「目安」になります。
遺産分割協議での話し合いがまとまらないと、家庭裁判所の調停や審判に進みます。
家庭裁判所の調停や審判のなかで、裁判官が財産をどう分けるかを決定するときに法定相続分が「目安」になります。
Sさんの考え方が半分正しく半分誤っているとしたのは、遺言書を作成する段階では法定相続人や、法定相続分のことをあまり考える必要がないからです。
法定相続人に財産を譲るときは「相続させる」、法定相続人以外の者に「遺贈する」と書くことを配慮すること、
法定相続人の遺留分に配慮することくらいではないでしょうか。
遺言書の3つの方式
ここまで遺言書を書く前に知って頂きたいことをご説明してきましたが、
最後に、遺言書の方式には3つあるということをご紹介したいと思います。

遺言書とは、あなたの思いを遺言とし書面にのこしたものです。
遺言書には、遺言者自らが自書する「自筆証書遺言」、遺言者の口述した内容を公証人が公正証書とする「公正証書遺言」、遺言の内容を秘密にしたまま公証役場で遺言の存在を証明してもらう「秘密証書遺言」があります。
遺言書3つの方式、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言のメリット、デメリットをまとめたものは次の表のようになります。
【普通遺言の3方式】
| 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | 秘密証書遺言 | |
| 特徴 | 費用をかけず、 いつでもどこでも作成可 | 口述内容を公証人が 公正証書として作成 | いつでも作成できる |
| メリット | ・いつでもどこでも作成可 ・費用がかからない ・内容を秘密にできる ・変更は自分の判断で | ・紛失のおそれなし ・偽造・変造のおそれなし ・形式的な不備のおそれなし ・検認手続き不要 | 内容を秘密にできる |
| デメリット | ・内容にチェックが入らない ・定められた形式で要作成 ・紛失のおそれ ・変造・偽造のおそれ ・見つけてもらえないおそれ ・検認手続き必要 | ・公証役場で手続き ・2人以上の証人を準備 ・費用と手間がかかる ・内容を証人の前で暴露 ・変更は作り直し | ・内容にチェックが入らない ・公証役場で手続き ・紛失のおそれ ・変造・偽造のおそれ ・定められた形式で要作成 ・費用が手間がかかる ・検認手続き必要 ・変更は作り直し |
遺言書の方式には、それぞれメリットとデメリットがあります。
メリットとデメリットを比較し、あなたに適したものを選ぶのが基本です。
どの方式を選ぶかお悩みの方は、それぞれの方式についてご説明したものがあります。
https://rich-hack.com/souzoku/igon_jihitsu/
