家賃が負担になってきた今の住まい、引っ越す?それとも住み続ける?

終活を考えるにあたり、お住まいは頭を悩ませる大きな課題です。

大きな課題だというのには、理由があります。
考えなければならないことが沢山あるだけではなく、簡単に解決できないからです。

お住まいについて考えられるということは、あなたはまだまだお元気のはず。
現在のお住まいを「これからどうしたいのか
まずは、そこから考えてみませんか?

これからどうしたいのか」は、単純に引っ越すか、それとも住み続けるか、売却するか、誰かに貸すかの4択になります。

①引っ越す
②住み続ける
③売却する
④誰かに貸す

それぞれの段階で戸建て賃貸に分けて考えていきます。

住み続ける

今のお住まいは賃貸でしょうか、戸建てでしょうか。

賃貸に住み続ける

まずはあなたが賃貸にお住まいだと仮定し、今後も賃貸に住み続けるとしたときのリスクを「これからの賃貸リスク」としてあげてみました。

もちろん、賃貸にはメリットがあります。

【賃貸のメリット】

  • 気軽に住み替えができる
  • メンテナンスを気にしなくてよい
  • 固定資産税などの税金を気にしなくてよい

若い頃であれば気楽であった賃貸も、60歳を超えるとメリットよりもリスクが意識されるようになります。

高齢者の賃貸リスク

  1. 家賃が支払えない
  2. いつ退去を求められるか不安
  3. 孤独死

年金では家賃が支払えない

給与取得で支払えた家賃が、主な収入源が年金となった途端、家賃が支払えなくなってしまうケースです。
配偶者が故人に、高齢者離婚等といった事情でも同じ状況を招くでしょう。

病気やケガといった理由で働けなくなれば、生活は厳しくなります。
高齢者になると病気やケガになる可能性は増えるはず。
いまが大丈夫でも、万が一を視野にいれておいたほうが安心でしょう。

家賃が支払えず、アパートを退去しなければならないとなると問題がでてきます。
それは「新たにアパートを借りるのはハードルが高い」ことです。

建て替えのためと退去を求められる

借りているアパートの築年数は何年くらいでしょうか?

一般的に新築から30年を経過すると、木造アパートは老朽化が進行し耐震性に問題が生じてくるといわれます。
鉄筋アパートなら35年です。

老朽化が進行し耐震性に問題が生じてくるといわれる年数
木造アパート新築から30年
鉄筋アパート新築から35年

あなたの借りているアパートの築年数が30年を超えているなら、大家さんが建て替えを検討しているかもしれません。

もしも大家さんから退去を迫られたら、どうなってしまうのでしょうか?
大家さんから立ち退きを求められたとしても、すぐに出ていかなければならないわけではありません

大家さん都合による解約は、原則として6ヶ月前までに告知しなければならないとされています。
したがって、立ち退きを求められても6ヶ月は、正当に居続けることができます。

では、その6ヶ月の内に転居先が見つけられなかったらどうなるのでしょうか?

大家さん都合による一方的な解約は、正当な理由がなければ認められない
このことをご存知で、「大家さん都合による解約は認められないんじゃないか」そう思われる方もおられるかもしれません。

相当年数の経過によって倒壊のおそれがある、あるいは建築基準法の改正(2000年基準)に対応していないことは正当な理由と認められる傾向にあります。

アパートを退去しなければならないとなると問題がでてきます。
それは「新たにアパートを借りるのはハードルが高い」ことです。

孤独死

孤独死とは、誰にも看取られずに亡くなることをいいます。

アパートの居室で孤独死されたご遺体が発見されるまで、日本少額短期保険協会による「孤独死現状レポート」によると、平均的な日数は18日間といわれています。
18日もの間、ご遺体が発見されないと被害はその部屋のみならず、アパート全体に及ぶ可能性があります。

第8回孤独死現状レポート(日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会)

その後片付けの手間や費用の支払い、風評被害といった損害を被るのは、あなたのご家族や、アパートの住民、大家さんとなります。

孤独死が発覚する原因としてもっとも一般的なのは、異臭や害虫の発生です。
孤独死の場合、ご遺体の腐敗が進んでおり、血液や体液などによる汚染や害虫被害、染みついた腐敗臭を専門的に扱う特殊清掃業者に依頼するケースが大半です。

賃貸していた居室の返還は原状回復が基本ですから、後片付けや清掃にかかった費用の請求は相続人に、相続人が相続放棄をすれば保証会社1、大家さんにとなります。

第8回孤独死現状レポート(日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会)

前述した「孤独死現状レポート」によると、後片付けの平均費用は220,661円、原状回復費用は381,122円となっています。

相続人が相続を放棄し、保証会社でカバーしきれなければ負担は大家さんが負うことになります。
大家さんが負担を負うことになれば、さらに高齢者への貸し渋りは強くなるでしょう。

孤独死は避けられないとしても、早期に発見してもらえる手段を講じるのが終活としての対応となります。

最悪の孤独死を避けるための解決例

最悪の孤独死とは、長期間ご遺体が放置されてしまうことです。

なぜご遺体が放置されてしまうのかといえば、発見するまでに日数がかかってしまうからです。

前述した「孤独死現状レポート」によると、ご遺体の第一発見者はご親族やご友人、次に職業上の関係者となっています。
女性のほうがご親族に、かつ早期に発見される傾向があります。

これは女性のほうがご親族やご友人とご連絡をとりあっている結果であり、早期発見を望むのであれば、ご自身を取り巻く社会との接点を保ち続けることが課題となるでしょう。

戸建てに住み続ける

戸建てに継続して住むことを検討されている方は、次のことが終活の候補となります。

  • リフォーム
    具体的には「どこをどうリフォームするのか」「費用をどのくらいかけるか?」「使える補助金は?」が検討内容となります。
    リフォームした家を将来的に「誰に相続させるか?」といった疑問への解消が終活としての活動になります。
  • ローン
    「ローン終了時までのマネープラン」が主な検討内容となります。
     団体信用生命保険に加入している場合は、死亡時の不安が軽減されるかもしれません。
  • 身の回りの整理
    お子様が独立されることをきっかけに、ご自身の身の回りの整理を考える方も多いです。
    思い出の品も多いことでしょうが、整理しないまま放置してしまうと、ご家族にご負担をかけてしまう原因となります。
    🔗終活として行っておきたい身辺整理とは
  • 相続
    「誰に相続させるか?」「税負担はどうなるのだろう?」といった疑問の解消や、登記簿といった書類をまとめておくことが終活としての活動になります。

引っ越す

お住まいを引っ越そうかどうかお悩みのあなたは、自身の人生を見直そうといったタイミングにいるのでしょう。
お子様が独立され、手広になったご自宅を持て余し気味なのかもしれませんね。

そんなあなたには、次のような選択肢があるのでは?

  1. 人生を楽しむ生活環境へ転居 ・・・ 賃貸等に
  2. 大きい家は管理が大変。こじんまりとした戸建てに ・・・ 住み替え
  3. 家を処分する等して老人ホームに入居

人生を楽しむ生活環境へ

お子様の手がかかる間、ずっと我慢してきた趣味や、お友達との旅行などを楽しみたい。
交通の便のよい土地や、食事や娯楽の楽しめる施設のある場所に住むのなら「賃貸では?」とアパート等をお探しになられる方もおられるようです。

高齢者が部屋に望むニーズには「1階である」「駅やバス停に近い」があり、築年数が古くても構わない傾向があります。
でも実際に不動産仲介業者を訪れてみると・・・

なかなか物件が見つからない

こんな事実に面食らっていませんか?
大家さんは高齢者に物件を貸したがらない傾向があります。「貸したがらない傾向」とは続き

こじんまりとした戸建てに

これまでのお住まいから、管理のしやすいお住まいを求められるケースです。

家を処分する等して老人ホームへ

老人ホームは、介護が提供される「介護付き施設」とまだ介護が必要でない者が入居できる「自立型施設」に分けられます。
ここでは、あなたがまだ介護が必要でない者として「自立型施設」をご紹介します。

運営初期費用月額利用料
公的ケアハウス・一般型0~1,000万円7万円~数十万円
ケアハウス・介護型~数百万円7万円~20万円
民間住宅型有料老人ホーム※2~数百万円10~30万円
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)~数十万円10~30万円
介護付き有料老人ホーム※2~数百万円10~30万円

※1 ケアハウスは一人暮らしの生活に不安を抱える高齢者向け施設ですが、軽費老人ホームC型と呼ばれることがあります。軽費老人ホームはA型、B型、C型の3種があります。1990年以降A型、B型新設されず。軽費老人ホームといえば、ケアハウスを指すことが一般的。

※2有料老人ホームとは、老人福祉法29条で定義される「常に一人以上の高齢者の入居のある、都道府県へ届け出た施設」

住宅型有料老人ホームと介護付き有料老人ホームは、同じ「有料老人ホーム」です。
ちがいは介護スタッフが常駐しているかどうかですが、住宅型老人ホームも施設内に介護事業所が併設されている場合が多く、サービス体制は大きく差がありません。
有料老人ホームの契約方式が利用権方式のため、初期費用が高くなる傾向があります。
利用権方式とは、入居時費用とサービス利用料がセットになったものです。
入居者が亡くなった時点で契約が終了し、賃借権方式と異なり利用権は相続されません。

初期費用、月額利用料ともに施設やサービス程度に依存するため、実際に問い合わせしないと正確な費用ははっきりしません。

老人ホームへの転居を検討するのであれば、複数の施設を資料などで比較するだけではなく実際に訪れ、現場の雰囲気を感じることも大切です。
初期費用、月額利用料の負担は大きく、支払うことで今後のマネープランが崩れないか検討が必要です。

やっぱり高齢者に賃貸探しは難しい?

住宅確保用配慮者への支援

よく60を超えると、新たに賃貸物件を探すのは難しいといわれます。
それは本当の話で、高齢者が十分な資金を有しているか、賃貸物件の築年数、家賃に関わらず高齢者であるからという理由だけで難しくなるのです。

国交省の調査によると、高齢者に対する大家さんの不安として次のものがあります。

  • 死亡後の部屋に残留物があったり、借家権が残ると次の人に貸せない※1
  • 孤独死して事故物件になったら困る
  • 家賃を滞納するのではないか※2
  • 入居後に何かあっても、家族がいない要配慮者の場合、連絡や相談する人がいない。
  • 住宅確保要配慮者は、他の住民とトラブルが生じるのではないか。

※1「借家権が残る」というのは、借家人が退去せず居住を継続すると借家権が更新されることです。被相続人が死亡しても借家権は相続するので大家が次の人に貸したいと思えば、相続人による借家権解約を要します。
※2家賃滞納のリスクは、高齢者の収入が年金のみとなること、身元保証人がいないことから生じます。

住宅確保要配慮者とは、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子供を養育する者、その他住宅の確保に特に配慮を要する者のこと

まとめると、大家さんの高齢者に対する不安は次の3つにあるということです。

【高齢者に対する大家さんの不安】

  1. 孤独死するかもしれない
  2. 保証人がいない
  3. 認知症になるかもしれない

大家さんの不安に対し、国交省が大家さんと要配慮者(高齢者)の双方が安心して利用できる市場環境の整備に。
【住宅セーフティネット法、高齢者住まい法、住宅金融支援機構法】

  • 居住支援法人等を活用し、入居中サポートを行う賃貸住宅供給を促進
  • 住宅施設と福祉施策が連携した地域の居住支援体制の強化

具体的には次の通りです。

  • 「賃貸借契約が相続されない」仕組みの推進
    終身建物賃貸借の認可手続きを簡素化
    ※賃借人の死亡時までの更新がなく、死亡時に終了する賃貸借
  • 「残留物処理に困らない」仕組みの普及
    居住支援法人の業務に残留物処理を追加
  • 「家賃の滞納に困らない」仕組みの創設
    要配慮者が利用しやすい家賃債務保証業者(国土交通大臣が認定)

要するに、大家さんが高齢者に貸したがらない理由を、解消する仕組みを創設しようとしています。

🔗住宅セーフティネット制度(国土交通省)

のこす

ここでは家や土地をのこすことを

相続が始まるまでにやっておきたいこと

遺言書作成の検討

もし住んでいる家をのこそうとするなら、法定相続は非現実的となります。
どうしてかというと、全ての財産が相続分に従って分けられるからです。

たとえば、奥様とご兄弟様間に法定相続が起こった場合、奥様に3/4、ご兄弟様に1/4の遺産が相続されます。
家も奥さんに3/4、ご兄弟様に1/4ずつが持ち分をもつ共有財産となります。

そうなると、家の管理が難しくなってしまい、奥様の死後、空き家のまま放置されかねてしまいかねません。
奥さんとご兄弟の意向がまとまらなかったり、離れて住んでいるため連絡がとれなかったりという理由で処分が難しくなってしまうのです。
これが家の法定相続が非現実的な理由です。

相続人のひとりに家をのこす旨の遺言をのこしておけば、このようなごたごたを避けることができます。

家をのこすことがご家族のためになるのか考える

ご家族が遠方に住んでいる、関係性が良くない、連絡がとれない方は、家をのこすことが、果たしてご家族のためになるのかを終活を機に考えてみましょう。

もし家をのこすことが家族に歓迎されない場合、ゆくゆく空き家となる可能性が高いでしょう。
空き家は放置されると、老朽化が急速に進行します。

空き家を放置するリスク

崩壊寸前の空き家やゴミ屋敷が放置されることが社会問題化されています。

【空き家やゴミ屋敷が放置される理由】

  • 手続きが進められない
  • 解体費用がかかる
  • 更地にすると固定資産税が高くなる

放置された家屋が「空き家対策の推進に関する特別措置法」により「特定空家等」に指定されると、固定資産税の負担増や過料、強制代執行といったペナルティが科されます

お住まいの終活まとめ

これまで述べてきたお住まいの終活についてまとめました。

現状アクション不安解決例
賃貸居住を継続・孤独死したらどうしよう
・今後も家賃が支払えるか
・社会との接点を見直す
・別物件の検討
別の賃貸に住み替え・入居拒否されないか?
・身元保証人が必要とされるのでは?
・身元保証会社利用
・高齢者向けの賃貸を
戸建て居住を継続・修繕費用の負担はどれくらい?
・リフォーム費用の負担はどれくらい?
・今後も管理し続けられるだろうか?
・マネープランの見直し
・他物件への住替え検討
賃貸に住み替え・入居拒否されないか?
・身元保証人が必要とされるのでは?
・身元保証会社利用
・高齢者向けの賃貸を
老人ホームに入居・負担する費用が大きくなりがち
・相性が悪かったら?
・身元保証人が必要とされるのでは?
・入居前の入念な調査
・身元保証会社利用
相続・相続人が家を継いでくれないかも?
・家が原因で”争続”にならないか?
・税負担を子孫に課す
・遺言書の活用
・家の処分
・財産ののこし方検討

現状は、現在のお住まいが「賃貸」か「戸建て」か。
たとえば「賃貸」でお住まいの方が居住を継続(「アクション」)されるのであれば、継続した場合の不安として「孤独死したらどうしよう」「今後も家賃が支払えるか」があるでしょう。

そのような不安に対しての解決例をいくつか挙げました。
リンク先で詳細なご説明をさせていただきますので、ご参照ください。

  1. 保証会社が保証する範囲は決まっているので、その範囲を超えると大家さんが負担しなければなりません。 ↩︎
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